ひねくれ双子の険しい恋路



―――――
―――


それは昼休みのこと。


例えるなら、嵐が訪れた。





「一夜ーーっ!!」


いきなり教室に入ってきて一夜に抱きついた小さな女の子。



冬は屋上が使えないから、教室で食べていたお昼ご飯。

やっぱり4人一緒だった。


だから、一夜と抱きついてる女の子は目の前に居る。


いきなりすぎて、さっきまでの考え事を掠めてしまうくらい驚いた。

いきなりっていうのもあった。


でも、一夜の事を呼び捨てにする女子なんてあたしくらいしかいない

って思っていたから、というのも一つ。



「エリカ、お前なんで……」



一夜も驚いてたけど、知り合いみたい。


お互い下の名前を呼び捨て。


梨沙をチラッと見ると、なんだかあからさまに嫌そうな表情。



「う、わ。エリカ……」


「あら、朝日くん久しぶりね」


どうやら朝日とこの子も面識があるらしい。


ってことは、元同じ中学校の子?



「朝日、誰?」


梨沙は普通に朝日に問いかけたようだけど、さっきよりも不機嫌になったのはおそらくあたしだけしか知らない。






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