ひねくれ双子の険しい恋路
「ていうか、どういうことよ一夜」
「何が」
「あたし戻ってきたら地元の高校にいないんだもん」
エリカ……と呼ばれる子は周りを無視して一夜に話しかける。
「あぁ。朝日とこっちきた」
「なんでー?知らないまま向こうの高校入ろうとしちゃったじゃない」
「……なんでもいいだろ」
……その理由を、この子は知らない?
下の名前で呼び合うほど、抱きついても普通なほど親しい間柄なのに。
――――彼女かもしれないのに?
あたしの中でいろんな考えが浮かんでくる。
ツンツン。
ふと、横腹を肘でつつかれた。
隣に座っている梨沙があたしを見てた。
割合で言えば心配30、不機嫌70くらいだけど。
それであたしはちょっと我に返った。
何考えてんだ、あたし。
一夜に彼女がいてもおかしくないでしょ。
でも、聞いたことない。
なんだか、心が重い。
「で、朝日」
「あ、あぁごめんごめん」
さっき梨沙が「誰?」と聞いた言葉を朝日は聞き取れていなかったみたいだった。