ひねくれ双子の険しい恋路


「エリカ、俺は誰にもつきまとわれてない」

「嘘よ、だってみんな噂してるの聞いたんだもの」


噂、ね……。

絶対あたし達のことをよく思ってない人が吹きこんだな。


「そんな噂もねぇよ」

「神谷梨沙ってのが朝日のこと脅しながら付き合わせて、神谷砂希ってのが一夜をストーカーしてるって」




「「何それキモチワル」」


朝日や一夜が言葉を発する前にあたしと梨沙が率直な感想を言った。


「……うわ、ハモった」


エリカはたかが言葉がかぶったくらいで驚いてる。

こんなこと当たり前なんだけど。


でも、問題はそこじゃなくて。


「エリカ、どういうことだよそれ」


朝日が、いつもより少し低い声でエリカに問いかけた。



「どういうこと、って聞いたことをそのまま言っただけよ?見るからにそうじゃない?」


あぁダメだ。

朝日の地雷踏んでるよ、もう。


いくら朝日がエリカのこと苦手そうでも、やっぱり梨沙の事が絡むとそうはいかないみたいだ。



「俺から梨沙に言ったんだ。脅しなんてクソみたいなことあるか」



……やばい。

朝日から暴言でたの初めてみた。

声はさっきよりも低い。


いつもニコニコしている朝日はどこにもいなかった。

幼なじみだけど、こんな朝日は見たことない。



でも、梨沙のために怒る朝日はかっこよくみえた。


梨沙も幸せ者だな、って思った。



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