ひねくれ双子の険しい恋路



「な、何よ。噂だっていってるじゃない」


朝日の態度が予想外だったのか、エリカはおろおろしだした。



「噂でもそんなのねーから。…気分悪ぃ」


朝日の不機嫌は全く直らない。

きっとこれを直せるのは梨沙だけじゃないかと思う。



「あーあー、わかったわよ、悪かったわね!!」


これ以上朝日の機嫌を悪化せるのはまずいと思ったのか、エリカは朝日に謝った。



でも、エリカの謝り方から見て、この人お嬢様なのかなって思う。


しゃべり方とか、仕方なく謝る感じが……。



「俺じゃなくて梨沙に謝れよ」


うん、それが正しいと思う。



……あれ、あたしは?


一応あたしも言われてたよね。

“ストーカー”とか、“つきまとってる女”って。



まぁ朝日が怒ってるのは初めてみたし、今は梨沙のことしか見えてないんだろうな。



「……」


エリカはあたしと梨沙を見たまま黙り込んでる。


……絶対“梨沙”がどっちか分かってないな。

それが普通だけど。



家族でもないし、昔からの幼馴染でもない。

わからなくて当然……。



あれ。

じゃあなんで一夜は見分けられるんだろう。



一夜が見分けられるのに初めは驚いてたけど、なんだか今じゃ当たり前のようになってる。



――なんて、あたしがまたいろいろ考え始めると。





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