ひねくれ双子の険しい恋路


『そのリンゴジュース、誰の?』


「さぁ」


空になったジュースの箱をパコっと折り始めた一夜。


『じゃあ何で飲んだの?』


「目の前にあったから」


『目の前に居るのは誰?』


「砂希」


『じゃあ目の前にあったリンゴジュースは誰のもの?』


「砂希」


一夜はあたしの質問に簡潔に答えながらジュースの箱を小さくたたんだ。


そして、後ろを向いて投げて、


ボスっ


「お、入った」


ゴミ箱に捨ててしまった。



『……なんであたしのジュース飲んだの』


もう遠まわしに言うのはやめた。

反省してないしコイツ。


「リンゴジュース好きだから」


『あたしもリンゴジュース好きだから買ってきたの』


「少なかったんだしいーだろ。そんな怒んな」



……一夜の態度のせいでこんなイライラしてるんだけど。


『返してよあたしの最後の一口』


「ケチだなお前も」


誰のせいだと思ってるんだ。


すると一夜は、ポケットから未開封のオレンジジュースを取りだした。

お詫びとしてあたしにくれるのかと思いきや、自分でストローをさして飲み始める。






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