ひねくれ双子の険しい恋路
一夜の後ろから、声が聞こえた。
それと一緒にものすごく強い目線も。
「私の存在忘れてるでしょ」
……言われてみれば確かに。
「そんなことねぇよ」
一夜がフォローする。
エリカの方を見ていなかったけど。
そして、あの鋭い目つきはあたしだけに向けられていて。
「アンタ、何。一夜の何」
ものすごく黒いオーラ。
面倒くさいけど、答えないともっと面倒なことになりそう。
……でもあたしは一夜の何でもない。
それが少し引っかかった。
『さぁ?』
あたしもエリカの方を見ないで言った。
それがエリカの気に障ったのか、
「一夜っ!!なんなのこの女!!」
……一夜に聞くと思わなかった。
一夜はなんて言うんだろう。
でも、そんなに深い関係はない。
期待、なんてするほうがおかしい。
「さぁ?」
一夜はあたしとまったく同じように言った。