ひねくれ双子の険しい恋路
それが、悲しいような、でも安心したような。
よくわからない感情がぐるぐるしていた。
「…っ。アンタに一夜はあげない。これ以上付きまとわないで!!」
エリカはあたしに怒鳴って教室を出て行った。
教室は相変わらずざわざわしている。
ちょうどそこに梨沙と朝日が戻ってきた。
手を繋いで戻ってくるから余計に教室がざわめく。
見た感じ、朝日が照れてる梨沙を引っ張ってきてる。
『おかえり』
「た、だいま」
梨沙の顔は赤くて、朝日の機嫌は直ってた。
うん、予想通り。
あたしだってあの不機嫌な朝日にはびびった。
……梨沙はすごいと思う。
「で、あの子はなんだったの」
梨沙があたしにコソっと耳打ちする。
『全く分かんない』
すごい睨みと一夜はあげない宣言をして帰って行っただけだったし……。
「じゃ、俺ら戻るわ」
「あ、うん」
朝日と一夜は自分の席に戻った。
『なんか、“一夜はあげない”って言われただけ』
「……砂希はなんて言ったの!?」
『いや、特には』
怒ってるときにあたしが何か言えばまたギャーギャーうるさくなりそうだからなぁ。