ひねくれ双子の険しい恋路



「あたしはあんな奴の事認める気さらさらないから。

もし認めてるように聞こえるなら、それは砂希の耳がおかしいんだよきっと」


梨沙は改めてあたしを見て言った。

そのバカにしたような口調にぶわっと怒りが来たけど、ここで感情的になったら負けだ。


『なんであたしなの。梨沙のほうでしょ』


「はぁ?」



『大好きな彼氏がいて、麻弥とも仲良くなれて、そんな幸せな毎日なせいか前よりバカになったね』



――――バンッ!!

梨沙は机を叩いて立ちあがった。



「バカなのは砂希でしょ。うじうじしながら何かと言い訳して、でも行動は起こさない。

ただの臆病者じゃんっ!!」



梨沙の言っていることは間違ってなくて、でもそれを認めたくなかった。


そして、あたしの中でプツンと何かが切れた。



――――バンッ!!

あたしも机を叩いて立ちあがる。

むしゃくしゃしてると、つい物に当たってしまうところは梨沙と同じだ。

勢いよく立ったから、椅子が倒れて梨沙の時よりもうるさくなった。



『そんなの梨沙になんか言われたくないっ!!』


「事実でしょっ!!」



シーン……。



周りが静かになって、初めて気付いた。

教室や廊下の生徒が驚いた顔であたしと梨沙を見ていたことに。



あたしはこれ以上教室に、梨沙の隣の席に居たくなくて、教室を出た。


やっぱり考えることは同じで、梨沙も前の出入り口から出て行った。




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