ひねくれ双子の険しい恋路



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教室での大喧嘩から、あたしと梨沙はしゃべらなくなった。


朝日も気まずそうにして、一夜はエリカにべったりされてて、あたしと会話を交わす人は誰1人としていなくなった。



でも、そのほうが今は楽かもしれない。




……なんて強がってみるけど、やっぱり梨沙に言いすぎたなっていう後悔が少なからずある。



隣同士の授業中も、寮に帰ってからも、登下校も、目をあわせない生活。


こんなの初めて、だな。




「……麻弥」


「え、何どうしたの??」


少し先の席で梨沙の声が聞こえた。



「何、ってこの間のノート返しにきただけ」


「あ、それね!!梨沙から話しかけてくるなんて珍しいなーって思って」


「ん、ありがと」



やんわりと笑った梨沙の顔が、強く印象に残った。


そんな顔、朝日以外にもできたんだ……。



「じゃあこのアメちゃんあげるよ」


「なんで」


「梨沙がツンデレだから?」


「何それ」




笑い合う2人が、

すごく遠く見えた。





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