ひねくれ双子の険しい恋路



ハッキリとした声にフルネームで呼ばれて目を開けた。



「あ、目を覚まされましたか?」



目の前に、メガネ女子。

えっと、誰だっけ。

どこかで……?



「宮木です。ク、クラス委員の」


あたしがボーっとしているのに気付いたのか自己紹介をしてくれた。


『あぁ』


それで思いだした。

いつだったか、梨沙の事を“ヒーロー”と言った人だ。



「あの、次移動なんです。神谷さんずっと寝てらっしゃるので……」



それで起こしてくれたのか。

ふと隣に目を向けると、そこに梨沙の姿はなかった。



……いつもあたしを起こすのは


『梨沙だったのにな……』



「どうしたんですか?」


『あ、いや。なんでもない』



ついポロっと言葉がこぼれる。


……それにしても。


『なんで同級生に敬語?』


「え、あ、これは元からそうなので気にしないでください」


宮木……さんは、少し顔を赤らめて言った。




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