ひねくれ双子の険しい恋路


それから少し早足で、授業に向かった。

真奈美の手を引いて、別ルートから。


――――――


『はい、ギリギリセーフ』


あたしは化学室の入口で真奈美の手を離した。


「え、あの、砂希さんは?」

『なんか萎えたからサボる』

「でも、」


あたしは先生に近寄って、


『激しい頭痛なのでしばらく休みます』


と大ウソをついた。

そして、先生の返答の前に教室を出た。


「砂希さん!!」


後ろで真奈美の慌てる声が聞こえたけど、気のせいということにした。



――――――――


どこへ行こう。

誰も来ないような静かな場所がいい。


『……C棟の4階』


あそこには資料室と古い図書室しかないから人がいる方が珍しい。


そこに決めたあたしは、人目につかないようにC棟に向かった。


ただ、面倒なのは階段。

4階までのぼらないといけない。



『あー…疲れた』


あたしは、4階に向かう途中の階段の踊り場で少し止まった。


すると。




「……なんでお前がここにいるんだ?」




なんだか懐かしい声に、思わず顔を上げると、

4階から背の高い男が階段を降りてきた。



『……い、ちや、こそ何で』



本当に、何で。

びっくりしすぎてそれしか言えなかった。






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