ひねくれ双子の険しい恋路
「どーいたしまして」
朝日は変わらない笑顔で笑った。
あの屋上で久しぶりに再会した時、あたし達はひどいこと言ったはずなのに。
『今日の梨沙、思い返せばいつもよりボーっとしてた。なんで気付かなかったんだろう……』
姉妹なのに。
双子なのに。
何してたんだよ、あたし。
「俺が言うのもなんだけど、そんな気にすんなよ。いくら双子でも、別々の人間なんだからそいつにしかわからないことだってあるだろ?」
『……朝日のくせに言うね』
「なんだよ、“くせに”って」
なんだか昔に戻ったみたいだった。
ただここにいるのは、あたしより背の小さかった昔の朝日とは別人の朝日。
『ホントにありがとう。1人じゃなにもできなかった』
「そんな改まって礼を言われると照れるなぁ」
朝日は、照れながらあたしの向かい側の椅子に座った。