ひねくれ双子の険しい恋路
『なんでそんなに喧嘩腰なの』
あたしに“うざい”と言った目の前の女を見た。
あたしのことを気に入らないみたいだけど、あたしはエリカと会話したことなんかない。
「今一夜と何話したの」
……これも会話とはいわない。
あたしの質問にたいして、違う内容の質問で返された。
『さぁね』
なんでいちいち話した内容なんかを教えなきゃならないんだ。
あたしの言い方のせいか、エリカは一段とイライラし始めているのがわかった。
イライラしたいのはこっちだ。
会いたくなかった相手に、通じない一方的な会話、偉そうな態度。
「邪魔しないでよ」
『は?』
「一夜の隣は昔からわたしって決まってるの、わたしのなの!!」
エリカはあたしに怒鳴った。
けど、昼休みにこんなところへ来る人はいないから誰にも聞こえることはない。
『……それは一夜が決めること』
あたしはぽつり、つぶやく。
おそらく、いや絶対ここにはあたしとエリカの2人しかいないから、小さな声でも届く。
「な、によ、ソレ」
『一夜が隣に誰を選ぶかなんて本人次第だし、一夜は誰のモノでもない』
それで、一夜がエリカを選んでもあたしは何も言えない。
誰を、選ぼうと。
それが、あたしの好きになった人の答えだから。