ひねくれ双子の険しい恋路



「……そんなの綺麗事よ!!」



エリカはまたあたしを怒鳴り付けた。



『……』



……何も言えなかったのは、あたしもソレに気付いている、からだと思う。




「逃げてるだけのアンタに何がわかるのよ、」



『……たとえあたしが逃げていたとしても、言ってることは間違ってない』



選ぶのは、あたしでもエリカでもない。



「……から、」


『は?』


「昔から、知ってるのはわたしなのにっ」


エリカは、少し目が潤んでいた。


「アンタは知らないでしょ、
一夜は鳥肉とピーマンが嫌いでイチゴアイスが好きで、双子の静夜と仲悪くて、でも、無愛想だけど本当はやさしいところもあって……」



エリカは必死になって一夜のことをたくさんならべた。




……イチゴアイス、好きなんだ。



……あれ?かなりまえだけど、あたしの弁当から鳥の唐揚げ食べてなかった?



……静夜との仲、ちょっと進展したし。


でも、


『ピーマン嫌い……』



あの一夜が、子供っぽいなと思って思わず小さな笑みがこぼれた。







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