ひねくれ双子の険しい恋路
「っに、笑ってんのよ!!」
――ヒュッ
いきなり、エリカの小さな手があたしに向かってきた。
『あ、っぶな、』
ギリギリのところで後ろに2歩下がって避けた。
「何なの、アンタ!!」
エリカはもう顔を真っ赤にして怒っている。
空を切ったその手は、強い拳となっていた。
でも、決してエリカのことを笑ったんじゃない。
「アンタなんか、アンタなんかね、いくら好きになったってね、振り向いてもらえないわよ!!ムダなのよ!!」
エリカは興奮状態で、言葉が途中で途切れながらもあたしを罵った。
……だからこそ、否定はしない。
エリカが本気なのがよくわかったから、ここであたしが嘘をつくわけにはいかない。
そこまで成り下がりたくない。
けど。
“ムダ”って、なんか……すごくムカつく。
ムダ……かもしれないけど、
でも、一緒にいた時間の長さの違いだけで無駄だって決めつけられたくない。
あたしだって知ってることたくさんある。
優しさに助けられたことだってある。
……なんだっけ、これ。
なんて言うんだっけ、
この胸の内からわいてくるイライラやモヤモヤは。
―――………。
あぁ。
そうか。
『……違う』
――――悔しい
だ。