ひねくれ双子の険しい恋路
「……アンタのせいよ」
エリカは口を開いた。
けど、その声は震えていた。
大きな瞳にたまった涙は、こぼれ落ちなかったけど。
「全部、アンタのせいよ!!なんであたしがあんな……あんな……っ」
『……ちょっと、何言ってんの?意味がわからないんだけど』
激怒の理由はわからないけどなぜかあたしのせいだと言ってるエリカ。
あたしの言い方が気に入らなかっただけ……には見えない。
「どうして、どうして?だって私のほうが、」
エリカはあたしを無視してぶつぶつ言っている。
自分は言いたいこと言ってあたしが喋ったら無視する、なんて。
……ムカつくな。
『何無視して、』
あたしはエリカに一歩近寄って、声をかけ……ようとした。
「うるさいっ!!近寄らないでっ」
――ドンッッ
かなり強い力で突き飛ばされた。
小さな体でこんなにパワーがあったなんて意外すぎる。
…なんて感心してないで、体勢を立て直さなくちゃ。
あたしは後ろに倒れていく。
きっとこのままだと尻餅つくな。
――スカッ
足元が、そんな感覚。
ふわっ、と嫌な浮遊感があたしに冷や汗をかかせた。
――尻餅をつく足場が、ない。
『っ!!!!』
あたしは後ろ向きのまま、階段から落ちた。