ひねくれ双子の険しい恋路
「なんかあったのか!?」
静夜の慌ててるとこ初めてみた。
なんか口調変わってるし。
『落ちた、だけ』
もう少し寝かせてほしい。
まだ痛いんだよ。
また、目を閉じようとした。
「わ、わ、ちょっとストップ。寝るなって」
――カチカチ、
携帯のボタンを押す音?
「もしもーし。あ、ユカリちゃん?俺だけどさ、C棟の3階まで来てくれない?」
……こんな時に何してんだコイツ。
いいや、もう起きよう。
『って、』
右手だけで体をゆっくり起こすのは辛い。
でも、まあ頑張れば歩けないこともないし。
「だーかーら、無理して動くなって」
いや、静夜には関係ないし。
このままのろのろと寮に帰ろうかなー。
――ズキっ
ゴンッ。
『っつー…』
無意識に左手も使って体を起こしてた。
そしたら痛みが走って、体制が崩れて……おでこぶつけた。