ひねくれ双子の険しい恋路
ガラ、と保健室の扉の音がした。
きっと先生が出て行ったんだ。
でも、人の気配は残ってる。
――足音が近づいてくる。
誰かわからないから、とりあえずあたしは寝たふりをした。
――シャッ。
カーテンから、少し光が射した。
「……」
誰?
はぁ、か、ふぅ、かは分からないけど小さなため息のようなのが聞こえた。
でもそれでわかった。
……どうして、いるの?
「なんでお前は……」
そうつぶやいた声が、完璧な確信をつく。
夢の中でエリカの肩を引き寄せてた人が、どうして?
…怒ってる?
違う。
呆れてるんだ、あたしに。
階段から落ちて、静夜の手まで借りた情けないあたしに。
……でも。
あれはエリカが押したせいだ。
あたしが悪いんじゃない…。