ひねくれ双子の険しい恋路



ガラ、と保健室の扉の音がした。


きっと先生が出て行ったんだ。



でも、人の気配は残ってる。


――足音が近づいてくる。


誰かわからないから、とりあえずあたしは寝たふりをした。



――シャッ。


カーテンから、少し光が射した。



「……」


誰?


はぁ、か、ふぅ、かは分からないけど小さなため息のようなのが聞こえた。


でもそれでわかった。


……どうして、いるの?



「なんでお前は……」



そうつぶやいた声が、完璧な確信をつく。


夢の中でエリカの肩を引き寄せてた人が、どうして?



…怒ってる?


違う。


呆れてるんだ、あたしに。


階段から落ちて、静夜の手まで借りた情けないあたしに。



……でも。


あれはエリカが押したせいだ。

あたしが悪いんじゃない…。




< 330 / 392 >

この作品をシェア

pagetop