ひねくれ双子の険しい恋路



――ダメだ。


違う、あれはあたしも悪かった。


エリカの平手を避けた時に、気付くべきだった。

もう後ろがないということを。



あぁ、もう嫌だ。


自分の不甲斐なさを、エリカのせいにしようとしてる。


最低だ。



――ガタン。


椅子の動いた音がした。

……一夜、が座ってたらしい。



――行っちゃう。



“言いたいこと、言わなきゃだめよ”



…そう、かもしれない。


けど、でも。




――いいや、もう。


いつまでもうじうじしてる自分に腹が立った。

自分のことなのにムカついてしょうがない。


もう呆れられてるなら、今更何を言っても同じだよね。



パチリ、目を開く。


目に入ったのは、一夜の後ろ姿。



まだ、立ちあがったばかり。



――まだ、届く。






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