ひねくれ双子の険しい恋路
『静夜って……』
――策士だよね。
とは言わないでおいた。
「で、2人はそういうことになっちゃったわけ?」
残念そうな、でも少し楽しそうな笑みを含む静夜の言葉にあたしは何も言えなかった。
さっきの、一夜との会話を思い出してまた体温が異常なほどに上がったからだ。
「うわ、ムカつくな一夜」
「なんでそうなるんだ」
「えーだって砂希ちゃん顔が真」
『うるさいな』
静夜の言葉を遮って、あたしは布団を頭までかぶった。
「お前にはこれから先絶対触らせない」
一夜の低い声が、あたしの熱を下げてはくれない。
「…………そうやって、執着しろよ」
静夜の口調が変わった。
「俺に何をとられても、怒らなかっただろお前」
――同情だったのか知らねぇけどな
小さな声で、そう付け足した静夜。
知らないけど、なんて嘘だ。
確信してたから、そう付け足して言ったんでしょ?
「大嫌いだったよ」
フッと笑う静夜に、
「……あぁ」
一夜も同じように笑った。
……そっくり。
あたしの口元が2人と同じようになっていたことは、布団の中の秘密。