ひねくれ双子の険しい恋路
「でもさ……」
静夜がちょっとだけ真面目な声を出すから、何かと思って布団から顔を出した。
「ダメじゃない?2人とも」
「「は?」」
静夜が何を言いたいのか分からなくて、あたしと一夜の声が重なった。
「2人の会話からしてお互い気持ちが通じ合ってるのはなんとか分かるけど、大事なこと言ってないじゃん」
……大事なこと?
の、前に。
おかしいよね。
今、矛盾してたよね。
“2人の会話からして”って。
『チャイム鳴ってから来たんじゃなかったの?』
「えー、っとそうだっけ?」
一瞬「あ。」って顔した静夜だけど、本当に一瞬で。
すぐにっこり笑ってごまかした。
『ちょっと、いつからいたの!?』
あの会話を聞かれていたかと思うと、恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。
「まーまー、いいじゃん過去の事は」
一番過去引きずってたやつが、都合のいい時だけほんの数分前を“過去”という。
ホントに腹立つな、その笑顔。
「で、お前だよお前」
静夜は怒るあたしを無視して一夜の方を向いていた。