ひねくれ双子の険しい恋路
「じゃあ、俺はご希望通り消えてやろうか」
静夜は出入り口まで歩いて、扉に手をかけてから一度こっちを振り返った。
「とりあえず、梨沙ちゃん呼んでくるよ。……きっと走ってくるだろうなぁ」
最後の一言を、あたしではなく一夜に言ったような気がした。
にこ、じゃなくて、ニヤっと笑って。
静夜が去って行って、保健室は静かになった。
『なんか疲れた』
ため息もひとつこぼれる。
「――――砂希」
突然。
低い声で呼ばれて、思わずビクッと肩が震えた。
『な、に』
一夜の真剣な目を見れなくて、自動的に視線は泳ぐ。
ムカつくけど、やっぱり静夜がいたほうがよかったかも。
2人だけの空間、というのにもなんだか緊張する。
「こっち向け。俺の目見ろ」
あたしは、一夜の指示に仕方なく従った。
じゃないと、なんか真面目に怒られそうな雰囲気。
『……』
あー……。
ムリ。顔あっつい。何コレ。
言うことあるならはやく言……
「砂希が、好きだ。
――付き合って」