ひねくれ双子の険しい恋路




――――あぁ、もう。



『、うん。……あたしも、一夜のこと、好き』



驚くほどするりと出た言葉。

一夜が真剣に言ってくれたからかもしれない。



素直に、言えてよかった。

一夜の気持ちが聞けてよかった。


静夜が一夜に言ったのは、このことだったんだね。





「泣くなよ」

『好きで泣いてるんじゃない』


嬉しくて、恥ずかしくて、でもやっぱり嬉しくてどうしようもないんだよ。


あたしがあたしじゃないみたい。



「素直じゃねーな」


一夜は、笑いながらあたしの涙を拭ってくれた。

温かくて大きな、いつもの手で。





―――ちゅ。



『…………』


「あ」



その顔、静夜と同じ……


じゃなくて。



な、にした?


ほんの一瞬だったはずなのに、離れないこの感触。



「したくなった、わり」


『はぁ!?…………』


はじめて、のせいか。

なんかもう言葉という言葉が出てこない。



「顔、」

『何も言わないで』



あたしはなんとかそれだけ言って、もう一度布団の中へ戻った。



もう起きない。

だいたい、まだ体中ズキズキしてるっていうのに。




ズキズキ、よりも心臓のドクドクのが痛いくらいだけど。







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