ひねくれ双子の険しい恋路
――――
――――
『……梨沙ー』
「な、に」
ひくっ、としゃくり上げているあたり、まだちゃんと落ち着いていないのかも。
『ごめん』
喧嘩して酷いこと言ったあたしのことを、こんなにも心配してくれる梨沙にとても謝りたくなった。
「……こっちこそ、ごめ、ん」
泣きやんだばかりだと話しにくいのかな、と少し笑みがこぼれた。
『怖かったんだよ、あたし』
「?」
『梨沙が周りに馴染んでいって、あたしから離れちゃうことが』
「さ、」
『梨沙に友達ができたって、あたしが隣に居ると見分けがつかなくなっちゃう。梨沙が“梨沙”として見てもらえなくなる。
そしたら、見分けてもらうことさえ怖くて』
梨沙の目が、顔が見れなくてあたしの視線はカーテンで仕切られた空間をうろうろしていた。
そこで気付く。
一夜がいない。
いつのまにいなくなったんだろう。
「ねぇ、砂希」
『ん?』
「ずっと、そう思ってたの?」
『うーん……』
「あたしが砂希に、“怖い”と言ったよりも前から?」
――あの時、か。
“いつか砂希が離れてくんじゃないかって怖くなるの”
そう、言われて余計にわけが分からなくなったあの時。