ひねくれ双子の険しい恋路
「だから、見分けてもらう努力をしようよ、砂希」
梨沙があたしに、優しく笑いかけてくれた。
どうして?梨沙。
そしたら、梨沙どこか行っちゃうでしょ?
たくさん友達できて、あたしのこと忘れちゃうでしょ?
「大丈夫、あたしたちが離れるわけじゃない。……今まで見分けてもらえなかったから、ちょっと寂しい気もするけど」
梨沙はやっぱりあたしの心をわかってる。
けど、今あたしは梨沙が何をどう思ってるのかよくわからない。
「あたし達は、お互いに執着しすぎたんだよ。自立しなきゃ、大人になれないよ砂希」
そう言った梨沙が、遠くの存在に思えて仕方なかった。
不安で不安で、あたしの心は焦っていて。
『梨沙……』
もうそれしか言えなかった。
「実を言うとね、あたしも不安。
でも、変わらない事実がある。
あたしたちが過ごしてきた日々もこれからの未来も、あたしと砂希が双子であることは世界が終ったって変わらないんだよ」
ニッと笑う梨沙。
その考え方は確かに事実しか言っていなくて、
あたしがネガティブすぎたんだって気付いた。
『、はは。あははっ』
笑いが、こぼれたんだ。
「ちょっと何笑ってんの、失礼だなぁ」
少し怒り気味だった梨沙だけど、その声はあからさまに嬉しそう。
『梨沙、あたしのお姉ちゃんだ。やっぱりお姉ちゃんだった』
「何それ、ちょっと照れる」
朝日が大好きで、たまにわがままあっても、考え方があたしよりずっと大人だった。
なんかちょっと悔しいけど、梨沙はあたしのお姉ちゃんだもんね。
きっと、あたし達は大丈夫だ。
こうやって一歩踏み出せたんだから、次に何が起こってもまた2人で乗り越えられる。
あたしは心から、そう思った。