ひねくれ双子の険しい恋路


まず朝日に、

『まぁまぁ、気にしない』

そう言って受け流した。



そして梨沙には、小さな声で耳打ちした。


『朝日がお姫様だっこで運んでくれたんだよ』


ただ、“横抱きして”とも言えたけど、わざとらしく“お姫様だっこ”を強調した。




チクン。





あぁ、自分で言ったくせにまた痛くなった。


……バカだなぁ。


そのあたしの言葉を聞いた梨沙は、真っ赤になっていた。


「ちょっ、砂希…!!」

『なぁに?本当の事を言っただけだけどー』


ニヤッと笑って見せた。

やっぱり梨沙は真っ赤で、熱が上がったんじゃないかと思ったくらい。


朝日は、訳のわからない会話に対して不思議そうな顔をしていた。



『お礼、いいなよ。そこだけは忘れちゃダメ』


また梨沙に耳打ちした。



「わ、わかってるよ……」



真っ赤な顔をしながら、うなずいた梨沙。


お礼ぐらい言わなきゃ。

頑張れ、梨沙。







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