ひねくれ双子の険しい恋路
「ふふ、そんな緊張しないでいいのよ?」
『あ、はい……』
そんなあたしの心は先生にはお見通しだったようだ。
「それで、なんとなくわかるけど一応どういうふうに落ちたのか説明してもらえる?」
保健の先生として当たり前のことだとはわかっているけど。
なんだか少し戸惑った。
あの時のことを?
――――エリカのことも?
あの子はどうしたんだろう。
静夜に起こされて目が覚めて、そこにエリカはどこいにもいなかった。
「……じゃあ、どこの階段の、どのくらいの位置から落ちたか覚えてる?」
あたしが無言で考えていたせいか、先生は質問を変えた。
『あ、すいません。……一番、上からです』
「一番上!?え、え?それでよくまぁ…こんなに無事で……あ、ちょっとずれちゃった」
先生は驚きながらあたしの左手に大きい湿布を張り付けた。
……確かに微妙にずれた。
それを直してから、綺麗に包帯を巻いてくれた。
「…………誰かと、いたのね?」
先生のかわいらしい声が、保健室を静寂にさせた。