ひねくれ双子の険しい恋路
ーーそれから少しして。
がらがらと、保健室の扉の音が聞こえてきた。
「失礼します……」
あたしよりも高いその声が、いつもより小さく響いた。
「いらっしゃい。あ、一夜くんありがとう」
「いえ……。あの、そっち行ってていいですか」
「そうね。ついててあげて」
途中から真剣な一夜と先生の声。
なに?なんなの?
気になっても、あたしが出ていってはいけない。
コツ。
この足音は、おそらく一夜……あれ。
なんだかこっちに近づいて……
ーーシャッ。
控えめに開かれたカーテン。
そしてそれはすぐに閉められた。
『(なんで!?)』
思わず目を見開いたけど、声を出すことはできない。
一夜は人差し指を口元にあてたまま、面白そうに笑っていた。
「しー」
一夜も、声を出さずに息だけで。
それがやけに色っぽく見えて、顔面に熱が集中する。
見られたくなくて、さっきよりも深く布団をかぶった。
なのに。
そんなあたしを煽るように一夜はベッドに腰を掛けて、布団超しに頭を撫でた。
待って。こんな人だっけ。
いや、翻弄されているだけ。落ち着け。
『(今はそれどころじゃない)』
完全にあたしの反応に面白がっている一夜を無視することに決めた。