ひねくれ双子の険しい恋路




それからあたしは、先生の車で近くの病院に連れていかれた。

無理矢理にでも行くと言って聞かなかった梨沙も一緒に。


いろいろと検査されたけど、異常はなかった。

左手首の捻挫と、打撲やすり傷が少し。



病院が終わってからは、先生が寮まで送ってくれた。

女子寮の、前まで。



『なんで、いるの?』


背の高い男子が、2人。

女子寮の前に立っている。


「二人とも、砂希のこと心配してたんだからね」


「砂希、大丈夫だったか!?」

『うん……平気』


……なんか朝日、久しぶりだなあ。


「平気じゃないでしょ。先生にも言われたくせに」

『はいはい』

一応、危なかったことは自覚したつもりだよ。


「目を離すとすぐ何か起こす」

『……なにソレ』

一夜、まで。




『……なんで、ここに?』


恥ずかしかったでしょ、女子寮になんて。

いつから、ここにいたの。



「心配したからに決まってんだろ?」

「そんなことも分からなくなったか……」

「そしたら事態は深刻なことになるよ」



真剣に聞いたのに、3人して何その言い方は。


『バカにしてんの?』

「だって砂希バカだし」

『確かに転げ落ちたのはあたしのミスだけど、それ以外は梨沙に言われたくない』

「だからそういうところが!!」


……どうしてまた怒るの。

今日はもうたくさん怒られたって。


「砂希のこと心配してる人がたくさんいるってわかってない」

『は……?』

「悪くないことまで、自分のせいにするのもダメ」

『……』

「返事は!?」

『え、はい!』



梨沙は、あたしが慌てて返事したのを見て笑った。

朝日も、一夜も、笑ってた。




『……ありがと』




――心配、かけたみたいでごめんね。




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