ひねくれ双子の険しい恋路
「じゃ、今日の夜食べるアイス買ってきて!」
『はい?』
どうしてそういうことになった?
「反省の証に。4人分だから、一夜くんと手分けしてきてね」
『4人分なら別に1人でも……』
そう言った瞬間の、梨沙の顔はあまりにも怖くて何も言えなくなった。
そして梨沙はあたしに近寄ってきて、耳元で言った。
「うまくいったんでしょ?」
…………。
『な、!!んで知って……』
言ってない。
何も言ってない。
「そんなのねぇ、見てればわかるって。雰囲気が違うんだよ二人とも」
『…………』
あたしは、梨沙にただただ呆然とするしかなかった。
「あたしと朝日は近くの公園にいるから」
『え、あぁ……』
「ほらぁ、一夜くんもう歩いてるよ」
先を見ると、確かに一夜の後ろ姿。
「砂希は今まで、頑張ったから」
『え?』
「言いたいことは言えばいいし、したいこともすればいい。二人は両思いなんだから」
『……うん』
そういうことをきちんと言われると、やっぱりまだ恥ずかしい。
「心から、嬉しく思ってる」
『あり、がと』
「ほら、行ってらっしゃい」
なぜか、無性に泣きそうになった。
梨沙をみて、鼻がツンと刺激されて。
梨沙のそんな顔、知らない。
あたしの方が、大人だと思ってたのに。
『行ってきます』
震える声を必死に抑えて、そう言った。
そしてすぐに、あの大きな背中に向かって走り出した。