ひねくれ双子の険しい恋路
「あり、がとう……朝日」
梨沙の言葉は、最後の方がよく聞こえなかった。
「どういたしまして」
なんだか微笑ましいくらいにお似合いだよ。
――あたしは邪魔者だね。
そうっと保健室を出ようとした。
「砂希?」
何でそこで気づいちゃうかな。
「何やってんだよ、砂希」
『いや、なんでもないけど』
せっかく2人っきりにしてあげようと思ったのに。
余計なお世話だったかな。
『ねぇ、朝日。自分の親友のせいで自分が周りから悪く言われたらどうする?』
「…は?」
朝日は、また不思議そうな顔をした。
「ちょっと砂希……」
梨沙は勘づき始めた。
さっきからいい感じの2人を見てて、何も知らない朝日がかわいそうになってきた。
なにも知らないのに、今までの幼馴染に冷たくされるのってさ……。
これがもし逆だったら、きっと納得いかないな、あたし。