ひねくれ双子の険しい恋路


――――――


「おーい」


そんな声がして、ふと目線を上げると。


『なに?』


友人の一人が俺をじーっと見ていた。



「……今日は寒いなー」

『寒いって言うとさらに寒くなる』


季節は巡って、秋。

なぜか今日はいつもよりとても寒い。


「もう昼休み終わるけど」

『あ?……あぁ、ホントだ』

時計を見れば、午後の授業開始10分前。


「うーん、やっぱりそうかなー」

『は?』


何か訳の分からないことを言い出したかと思えば。


「おーい、ちょっとちょっと」

目の前の友人は、近くにいた男子数人に手招きした。


どーした、なんだと集まってきたのは3人。

部活は同じだったりそうじゃなかったりするが、なんだかんだでよくつるんでいるメンバー。


ヒソヒソヒソ。


なぜか俺の前で始まる小さな声の会議。



「――だと思わないか?」


メンバーを集めた本人がそう言うと、“あぁー”だとか“俺もそう思ってた”だとか賛同の声。


『何なんだよまじで』



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