ひねくれ双子の険しい恋路



「気付いてないようだから言うけど」

『……なんだよ』


4人の視線は全て俺。

誰も笑ってないから、変に緊張する。




「今日はもう帰れ」




『……は?……何で』



何を言われるのかと思えば、どういうことだ。

もうすぐ授業始まるんだけど。


「滅多にないことだから自覚ないんだろうな」

「俺らが気付かねーとお前ずっとこのままじゃん」

「はいはい帰り支度」


俺だけが置き去りにされている、気がする。

いや、気のせいじゃないか。


『待てって、何の話してんだよ』


そう尋ねると、今度はため息をつかれた。



「だからさぁ、」




「――翔って熱あるとき全く笑わないだろ」




そ、うなのか?


それでさっき――。



『今日はいつもより寒いよな?』

「昨日よりは温かい」


「昨日雨と低気温が原因か」

「翔が、って珍しいな」



そんなこんなで、早退が決定した。


俺の周りのやつらは、口に似合わず行動が早い。




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