ひねくれ双子の険しい恋路



―――
―――


なんか。


熱い……暑い、か?


暑い。


目の前は、何も見えない。


あ?

寝てるのか。

俺、寝てた?



俺はいつ閉じたのか覚えていない瞼を開けると同時に、暑さの原因である毛布を退かした。



「「あ、起きた」」



な、んだ?

……幻聴か。

相当熱にやられてる、俺。


『……』

「ちょっと、何その誰ですか、みたいな顔」


この、声。


「1時間前に梨沙と帰ってきたの。明日から3連休だし」


懐かしいような、そうでもないような。


『……あ、そう。……おかえり』


喉が痛かった。そのせいで声が掠れた。


「「ただいま」」




――にこりと笑った、俺の姉たち。


同じような顔で、全然違う双子。

俺が小5になった春に家を出て遠い中学に行った、少しワケありの二人。



『……りさ、さき、おかえり』


「「?ただいま」」


重なるその声は、俺の言葉のすぐ後に聞こえてくる。

――そんなの、当たり前なんだけど。



< 368 / 392 >

この作品をシェア

pagetop