ひねくれ双子の険しい恋路


「というか、梨沙何してんの?」

「麻弥から借りた本読んでるの」


「まや?」


ドキン。


梨沙に聞き返した福田くんの何気ない言葉が、胸の鼓動を速めた。



それに気付かされるのは、あたしがまだ福田くんを諦めきれてないということ。




梨沙との勝負で、あたしは「ライバル」だと言った。

諦めなくていいと、梨沙に言われたから。


それに少し心が救われたのは、ほんの一時。


梨沙と福田くんの間には、誰にも入れない雰囲気が存在していた。



そしてあたしは、

もうやめようと決心した。


このまま思い続けたって、あたしの恋が実るわけじゃない。


……そう決めたって、長く続けてきた片想いが簡単に終わるわけなかった。



梨沙と、もっと接してみたい。

でも、苦しい。

福田くんへの気持ちが邪魔をする。



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