ひねくれ双子の険しい恋路





――そうして、冒頭に戻る。



屋上のフェンスた腕をのせて、そこに顔を埋める。



ねぇ梨沙。

どうしてあそこであんな話だしたの。


あたしへの見せつけ?

やきもち妬いたの?

不安になったの?



『いいじゃん、別に……』


中学の頃の話を少ししただけ。

あたしには、そんなことしかできないのに。


梨沙は全部もってるじゃん。


勉強も運動もできて、

誰もが認めるような美人で、

素敵な彼氏がいる。


あたしにひとつくらいちょうだいよ。



『……はぁ』


自分の中で渦巻く黒い気持ちが、重たいうるさいムカつく。


梨沙との勝負からだいぶ経っていて、梨沙も少しずつ笑ってくれるようになったのに。



あたしだけが、立ち止まってる。



――ガチャリ。


突然、屋上の扉が開いて。


「あ……」



……待って。ちょっと待って。

こんなタイミングってないよ。



今一番会っちゃいけないのは、梨沙なのに。


どうして、来ちゃうの。



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