ひねくれ双子の険しい恋路
暗闇に包まれた図書室。
それでも砂希の位置はわかる。
あいている方の手を伸ばして砂希の頬に触れると、それは俺の手よりも冷たかった。
「……どうしたの?」
砂希の問いかけを無視して、俺は顔を近づけた。
「!?」
とりあえずは、触れるだけ。
暗いと表情が見えないのがつまらない。
『……これ以上したらお前ビビりそうだからな』
「いき、なり……!」
『俺が我慢してるんだから大人しくしろ』
「何でそんなに偉そうなの!!」
『じゃあ何、続きする?』
「…………」
これでしばらくは黙ってるな。
これ以上喋られたら、砂希の口から何が出てくるかわからないし、それで俺が何をするかもわからない。
『寒いし荒れてっし、早く帰るぞ』
今度は俺が、砂希の手をひいて歩いた。
その手は、俺よりも暖かくなっていた。