ひねくれ双子の険しい恋路



外へ出ると、風は弱くなっていたが雪は大粒になっていた。


『……さむ』

「マフラーは?」

『このあいだ濡れたから洗濯中』


「寒がりなのに1つしかないの?」


…………?


『俺おまえにそんなこと言ったか?』


確かに、寒いのは……嫌いだけど。

かなりウザいし大嫌いだしイライラする、けど。


それをあからさまに表に出した記憶はない。


「言われなくてもわかるよ」


水色の傘を開いた砂希は、そのなかに俺の頭もいれた。

俺より背小さいのに腕伸ばして。


『いつも無理ばっかりするなよ』


面白くて、くすりと笑いながら砂希の傘を取った。




「……少しだけ、目の高さ合わせてくれない?」


いきなり話が飛んで意味がさっぱりわからない。

が、俺は言われた通りに、膝を少し曲げて砂希の高さに合わせた。



すると、――ふわり。



『今度もう1つ買いなよ?』


砂希の首に巻かれていたそれは、今は俺の首に巻いてある。

その深い赤チェックには、砂希の体温がうつっていた。



『これじゃ砂希が寒いだろ。俺そんなに寒がりじゃねーよ』


本当はすげー暖かいけど、ここまでして暖かさを求めてるわけじゃない。


「嘘。知ってるよ、極度の寒がり。朝どうやって来たの?」


今度は砂希がクスクスと笑っている。

なんか……面白くねぇな。



『だから寒がりじゃねーって。朝だって変わらない』


……本当は朝日のマフラー奪って学校来た。

アイツはテンションが高いからいいんだ。


「なんでそこで意地張ってるの?」



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