ひねくれ双子の険しい恋路
ブーン……。
ピタ。
飛んでいたテントウムシが止まった。
『あ…』
テントウムシが止まったのは、麻生の鼻の上。
なんでそんな場所に…。
鼻の上をちょろちょろ動いてるのに、麻生は全然起きない。
…助けてあげるか。
テントウムシの近くにあたしの人差指を出すと、うまく指に乗ってくれた。
『よし』
「……あ?」
……起きちゃったよ、麻生。
誤解しないでね。
麻生に触ったんじゃなくて、テントウムシを助けてあげたの。
……すごい苦しい言い訳みたい。
『えっと、テントウムシ』
人差指に乗っているテントウムシを見せた。
これで理解してください。
「……あぁ、なるほど。サンキュ。えーっと」
寝起きの頭をぼりぼりとかきながら、何かを思いだそうとしている。
この人普段怖そうな顔してるけど、そんなに怖くもないな。
「……神谷…なんとか」
あ、名前ね。
『あ、そう。神谷であってる』
「いや、違う」
はい?
じゃああたしは誰だよ。