ひねくれ双子の険しい恋路
「思い出した。神谷砂希だ」
……あたしの、名前。
なんで分かったんだろう。
……いや、違う。
ただの偶然。
あ、名簿番号か。
そういえば、あたしでちょうど半分なんだもんね。
『違う。あたし、梨沙。今入れ替わってるの』
――嘘。
でも、そんな嘘にも誰1人として気付いたことなかった。
ムリだよ。
普通の人にあたし達は見分けられない。
「……嘘。お前、砂希のほうだ」
え……。
何?
もしかして、
――見ぬ抜かれた?
『なんで――……』
こんな経験は初めてで、緊張した。
「……」
この人……寝た。
なんで話の途中で寝るの。
こっちは緊張してたってのに。
『はぁ』
ため息が、こぼれた。