ひねくれ双子の険しい恋路
『はは……』
何してるんだろう、あたし。
“あたし”は、どこかへ行かなきゃ。
ギィ。
いつの間にか、屋上の思い扉を押してた。
屋上には、いつも誰もいないからちょうどよかった。
ストン。
入口からは死角になる、日陰でうす暗い壁に寄り掛かって座った。
『痛……』
痛い。
心がキュッて締め付けられる感じ。
でも、この痛みにももう慣れてきた。
だって、あたしの役目はあの2人をくっつけること。
だから、こんな痛みにかまってる場合じゃない。
人って、分かりやすい。
何を思って、何を考えて、何をしたいのか。
すぐにわかる。
だからあたしは、そうならない。
じゃないと自分の気持ちが、ばれてしまう。
……朝日が誰のことを想ってるかなんて、簡単に分かったよ。
――よかったね、梨沙。