ひねくれ双子の険しい恋路


『……』


麻生だった。


けどあたしは、人が降ってきたことに対して驚いていたから言葉が出てこなかった。



「おい」


『あ、ハイ』


とりあえず、返事。


「俺、上から飛び降りただけだから」


麻生はそう言って、あたしの上を指差した。


『あ、そうですか……』


あたしの寄り掛かってた壁は、小さなコンクリートの建物。

梯子が付いていて、上に登れるんだった。



でも、何であたしが驚いていた理由、わかったんだろう。


「屋上って、日向が当たる所は暖かいけど、日陰は風が吹いて結構寒い」


『……へぇ』


あ、この制服って……?


『だから制服かけてくれたの?』


「あぁ」


『どうもありがとう』


お礼を言って、返した。


「まだ、寒いのか?」


『え、そうでもないけど。なんで?』


いきなり、何だろう。

制服のおかげで、まだ暖かい。


「顔色、悪いから」





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