ひねくれ双子の険しい恋路
心臓がバクバクいってる。
なんでこんなに麻生のペースなんだろう。
考えれば考えるほど腹が立ってくる。
“じゃあな、砂希”
だけど、さっきの麻生の低い声が頭の中でぐるぐるしてる。
キーンコーンカーンコーン……。
授業終了のチャイムが鳴った。
『教室戻らなきゃ…』
――――――
ガラガラ…。
教室に戻ると、授業が終わった後の休憩ということで、ガヤガヤしていた。
「砂希っ!!」
『あ、梨沙』
梨沙がすごく心配した顔で駆け寄ってきた。
「『あ、梨沙』じゃないよ!心配したんだから…」
『ごめんごめん』
「なんでか知らないけど、探しに行こうとしたら朝日に止められるし」
『ごめん、屋上で寝てた。次からはちゃんと言うから」
梨沙は、あんまり納得してなかったようだけど、なんとか落ち着かせた。
でも…なんで朝日が…??
『なんで…?』
「何?」
『あ、なんでもない』
ついポロっとこぼれた。
最近いろいろあって、つい口に出しちゃうことが多い。
気をつけなきゃ。
「なんでだと思う?」
後ろから、聞き覚えのある低い声がした。