ひねくれ双子の険しい恋路


振り返ると、そこにいたのは…。


「おー、一夜。戻ってきたなー」


朝日が、あたしの後ろの人物に話しかける。


「あぁ、屋上で昼寝した」


「お前よく寝るよなぁ」



朝日と友達だったって、本当だったんだ。


「で、お前はなんで逃げようとしてるわけ?」


『え…っと』


麻生は、鋭い。

あんまり近くにいたくなくて、そろそろと静かに退いてたのに…。



コイツといると、あたしがあたしじゃなくなる。

かなり振り回される。

だから、嫌。



「朝日に連絡入れた。砂希と一緒に居るから、心配するなって。砂希の片割れに探しに来させるなって」


『あ…そ、そうですか』


「なんで敬語なんだよ」



ホントにほっといてくれないかな。

すっごい視線感じてるからね。


梨沙と朝日も見てるよ。


みんな絶対不思議がってる。



『わかったから、これ以上話しかけないで』


小さな声で麻生に言った。


「…ふーん。そんな態度とっていいんだ?」


『は?』



麻生は、ニヤりと笑った。



……やばい。なんか嫌な予感がする。






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