ひねくれ双子の険しい恋路
「なぁ朝日。知ってるか?砂希って、朝日の…」
『わぁぁぁっ!!ちょっと何言ってるの!?』
梨沙と朝日は、不思議そうにこっちを見てる。
「お前がわるいんだろ?俺にでかい態度とるから」
『アンタだってそうでしょ。偉そうなこと言わないで』
はぁ、やっぱり傍にいるのはやめた方がいいみたい。
「“アンタ”じゃないだろ、さっきの約束。今すぐに言い直さないと…」
『バラす、って言いたいんでしょ…』
「よくわかってんじゃねーか」
コイツSだ。「ド」が付くほどSだ。
あたしは今、そう確信した。
『もう、わかったわよ。一夜だってそうでしょ。偉そうなこと言わないで』
さっき言った言葉をリピートした。
でも、なんか“一夜”って呼ぶのに恥ずかしさがあって、それを隠して冷静を装うのは大変だった。
『梨沙、もう席着こ。授業始まる』
「あ、うん」
2人で席についた。
授業まであと5分はあるのに、教室は静まり返っていた。
たぶん、あたしと麻生の会話を聞いて驚いたんだと思う。
梨沙と朝日だって驚いてた。
クラスの人達は、みんなポカンとしてた。
だけど、あたしとアイツだけ違った。
睨みつけるように麻生の方を振り返ったあたし。
麻生は、楽しそうにニコっとした。
認めたくないけど、たぶんあたしの顔は真っ赤だったんだと思う。