ひねくれ双子の険しい恋路
『……え?』
「いい加減、ずるずる引きずってないで、気持ち伝えようと思うの。フラれたらそこで終わりにする」
一瞬、何も考えられなくなった。
梨沙が自分からこんなこと言うなんて――…。
だけど、梨沙はゆるぎない強い目で、あたしを見てた。
“もう決めたの”
そう言ってる。
『そっか…。決めたんだね』
「うん」
『なんでそうしようと思ったの?』
あたしの1番気になっていることを、聞いてみた。
「なんかね、嫌になったの」
『何が?』
「自分が。朝日はいいヤツだから、人気あって女の子が寄ってくる。あたしはその子達に、嫉妬してた。朝日の事はあたしの方が知ってるんだから…って」
あたしは黙って聞いてた。
「でも、気持ちも伝えないで、何もしてないのに、嫉妬とかおかしいじゃんって思ったんだ…」
確かにそうだね。
そんな意味を込めて、うなずいた。
「それからいろいろ考えて、決めた。言わないでウジウジするより、言ってスッキリしたい。だから、もしダメだったら……」
そこで梨沙は俯いた。
『大丈夫、きっとうまくいくよ』
あたしは、梨沙を抱きしめて優しく言った。
ずるずる引きずってたのは、あたしだ。
ウジウジしてたのも、あたし。
梨沙、あたしも決めたよ。
2人がうまくいったら、あたしは終わりにする。
朝日への気持ちに、サヨナラを告げる。