ひねくれ双子の険しい恋路
『あ…一夜のせいだから。あたしは何もしてない』
麻生、といいかけて直した。
じゃないと、またうるさいことになりそうだから。
なんかもう、“一夜”って言うのにも違和感がなくなってきた。
ただ、よく言い間違えそうになることはあるけど。
「俺でもねーよ」
「わかったわかった」
朝日は、苦笑いしながらあたしと麻生をなだめた。
「クスクスっ」
梨沙は笑ってた。
麻生と言い合いになるのは不愉快だけど、こんなお昼も悪くないな……って思ってた。
「前から気になってたんだけど、聞いていいか?」
朝日が言いだした。
「「何?」」
あたしと麻生の声がそろった。
梨沙はジュースを飲んでいた。
「一夜と砂希って、付き合ってんの?」
『………』
朝日の突拍子のない言葉に、あたしは何も言えなかった。