ひねくれ双子の険しい恋路
「お前さぁ、なんでそこまでするわけ?たかが双子の姉だろ?」
麻生はなんだかまじめな顔してた。
『梨沙が大切なの。“たかが”じゃないの。たった1人しかいない、双子の姉なの』
「……」
『朝日のこと好きだけど、梨沙を傷つけたくない。2人に幸せになってほしい。あたしのことはその後でいい』
笑おうと思ったけど、笑えなかった。
麻生はあたしの目をじっと見てたから。
なぜか、そんなまっすぐな視線を受けて、作り笑いができなかった。
「辛そうな顔もしないし、泣きもしないんだな」
『するわけないでしょ。自分を否定したくはない』
自分で決めたことに泣くなんて、否定するのと同じ。
だいたい、なんかカッコ悪い。
そんなふうにで、もう何年も涙を流すことはなかった。
別に泣く必要なんてなかったから。
「ちょっとは素直になれば」
『あたしはいつだって素直。麻生になんか言われたくない』
「そこが素直じゃねーんだよ。というか、お前バツゲームな」
……?
『なにいきなりバツゲームとか…』
「俺の事、苗字でよんだだろ」
あっ……。
やっちゃった……。