ひねくれ双子の険しい恋路


「じゃあこれで」


麻生の言葉と共に、あたしの右手がふさがった。


『なにしてんの…?』

「見てわかんねーの?手ぇ繋いでんの」


ぎゅうっと握られた右手。


『なんで?』


「今回はこれで許してやるよ」



本当は麻生の大きな手と、温もりが心地よかった。



…なんて絶対言わないけど。




『ありがと』





今1人じゃなくてよかった。

麻生がいてくれてよかった。




――今度から、ちゃんと心の中でも名前で呼んであげよう。






あたしは、一夜の手をゆっくりと握り返した。











< 71 / 392 >

この作品をシェア

pagetop