ひねくれ双子の険しい恋路




『あぁ、終わりなんだなぁ……』


「え?何が?」


あ、やばい。

また口に出しちゃった。


『あー、えっと。梨沙の片思いが終わりだなぁって思って』



土壇場での嘘だってお手の物です。


でも、あたしの片思いも終わり。



「あはは…。でも、砂希のおかげだよ。ホントにありがとうございました」


照れながら頭を下げた梨沙。


『やめてよ、あたし何もしてないから』

「ううん。そんなことない!!」

『全部梨沙が頑張ったんだよ。ほら、もうご飯食べに行こ?』


そうそう。

梨沙が頑張ったんだから。

あたしはほんのちょっとのチャンスを作っただけ。


「そうだね。おなか減った~」



あたしと梨沙は、部屋を出て食堂に向かった。








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